目覚めた時に、その直前まで見ていたであろう夢を思い出せない事が多い。
明け方の雨音が眠りの中に入り込んで、妙に感傷的になり目覚めると枕が濡れていたりする。
目覚めた時その余韻から、その夢は辛いもので有ったのか、悲しいのか、幸せで有ったのか想像するしか無い。
今朝の私は、目覚めた時にふんわりとした暖かいものを感じていた。
記憶を辿ってみる。
奇跡的に私は或る情景が浮かんできた。
一頭のベージュの大型犬と歩いている。
リードは着けていない。
それでもその子は私の左側をおとなしく歩いていて、その隣には誰かが居たけれど、男性か女性かも思い出せない。
私はその子の背中に手をあてたりして歩き続け、長男の運転する車の助手席に座った。
後部座席には、幼い頃の次男と三男が居た。
私はその大型犬をやっとの思いで膝に乗せた。
しばらくするとその子は
「おかあさん、ボクは、ボクはね」と言いながら眠りに落ちた。
短い夢であった。
それでも、目覚めた時にそのワンコの重みを腕に感じていた。
いつか
ムクが旅立ってしまった後に
三男が言ってくれた言葉を思い出す。
「おかあさん
ムクはね、なぜお母さんに抱っこしなかったと思う❓
それはね、お母さんをずっと見ていたかったからだよ」